フォー子ちゃんの白雪姫2


「誰かいましゅかぁ?」声がしないので、そっと中を覗いてみると
その家の中にあるものは、なんでもかんでも小さいものばかりでしたが、
そのすべてが、言いようがないくらい立派で、清らかな感じがして、
白雪姫は中に入ってしまいました。





日がとっぷり暮れて、あたりが真っ暗になった頃、この小さな家の主人たちが帰ってきました。
その主人たちというのは、七人の小人でした。この小人たちは、
毎日、山の中に入り込んでは、金や銀のはいった石をさがすのが仕事でした



小人は自分たちの七つのランプに火をつけました。
先生と皆に呼ばれている小人が、まず口をひらいて、言いました。
「おや、誰か、わしの椅子に腰をかけた者がおるぞ。」
 すると、怒りんぼうの小人が言いました。
「わしのお皿の物を少し食べた者がいるぞ。いったい誰だ!!」
にこにこして幸せな小人が言いました。
「誰だい、わしのパンをちぎって食べたのは。おいしかったかい?嬉しかったかなぁ。」

 いっも眠い小人がいいました。
「ふぁふぁふぁ、わしの野菜を食べたものが入るぞぉ。ふぁぁぁ。眠い・・・」
 恥ずかしがりやの小人が小さな声で言いました。
「わしのフォークを使ったのは誰なんじゃぁ・・・」
 花粉症の小人が言いました。
「へっへっへっくしゅん・・、わしのナイフで切った者がいるぞ。くしゅん。」



 おとぼけの小人がいいました。
「わしの杯で酒をのんだ者がいるぞ。いゃ待て、わしだった。」
 それから、先生と皆に呼ばれている小人が、ほうぼうを見まわしますと、
じぶんの寝どこが くぼんでいるのを見つけて、声をたてました。
「誰だね、わしの寝どこに入り込んだのは?」



 おとぼけの小人が、じぶんの寝どこへ行ってみると、ベッドに入って眠っている
白雪姫を見つけました。小人たちはランプを持ってきて白雪姫を照らしました。

「おや、なんて、可愛い子が寝ているんだ!」と、小人は叫びました。
あんまり可愛くて美しいので小人たちは、大喜びです。
そのまま白雪姫を起こさず、寝かせておきました。
そして、優しい小人たちは、一時間ずつ他の小人と替わりばんこに寝るようにして、
その夜を過ごすことにしました。




 朝になって、白雪姫は目をさますと、七人の小人を見て、驚きました。
「小人さんたちのお家だったのでしゅね、勝手に入ってしまって、ごめんなさいでしゅ。」

けれども、小人たちは、文句も言わずたいへん親切にしてくれました。
「それより、おまえさんの名まえはなんと言うのかな?」
「わたしの名まえは、白雪姫フォー子というのでしゅ。」と、答えました。




「おまえさんは、どうして、わたしたちの家に来たのかね。」と、
小人たちは聞きました。
そこで、白雪姫は、継母が、自分を殺そうとしたのを、狩人が助けてくれて、
一日じゅう歩いて、やっとこの家を見つけたことを話しました。
その話を聞いて、白雪姫をとても不憫に思った小人たちは、
白雪姫に、ここで一緒に暮らすように言いました。




白雪姫は小人たちが山に働きに入っている間に、掃除や洗濯、針仕事をしたり、
皆のご飯の支度をして、毎日を楽しく過ごしました。
「白雪姫さん、私たちが仕事にいっている間、誰も家に入れちゃいけないよ。
あの、怖いお妃に、ここが知られたら大変だからね。」と、小人たちは口をそろえて言いました。




その頃、白雪姫がいなくなったことを喜んだお妃様は、今度こそはと鏡に、また尋ねるのでした。
「鏡よ鏡よ、この世で一番美しいのはだあれ? おっほほほほ、もちろん このわたくしに
決まっているざますわよね。」と、尋ねると、
「いいえお妃様。この世で一番美しいのは、山の向こうの森の奥にある
七人の小人の家に住んでいる、
顔も心もとびきり綺麗な白雪姫フォー子さまです。」と、答えたではないですか。

「なっ!なんざます!! あの狩人め。わたくしを裏切ったざますね! 許さないざます。
こうなれば自分で 白雪姫を殺してやるしかないざます。」



そう考えたお妃様は、物売りのおばあさんに化け、毒リンゴを手に 山を越えて、
森の奥の小人の家に行きました。
 そして、小人の家の窓をたたきました。
「誰かしら?」



「おやまあ 美しい娘さんざますねえ、綺麗なお嬢さん贈りものざますよ。」
「まあ、何て美味しそうなリンゴでしゅこと。おばあしゃん、ありがとうでしゅ。」




けれど、そのリンゴを一口かじるなり白雪姫はバタリと倒れてしまいました。
仕事から帰った小人たちは部屋で倒れている白雪姫を見つけました。
かけより皆でどんなに声をかけてもゆすっても白雪姫は、
二度と息をすることはありませんでした。