フォー子ちゃんの白雪姫1


むかしむかし、あるところに 姿はとても美しいのですが、
ひどく心の醜いお妃様がいました。






傲慢で自信家な王妃様は、鏡に向かうと 必ずこう尋ねるのでした。

「おほほほほほ、鏡よ鏡よ、この世で一番美しいのは、 いったい誰ざぁますか?」
 お妃様が、こう尋ねると鏡はいつも「この世でもっともうつくしいのは
 それは お妃様です。」と、答えるのでした。
それというのも、この鏡はただの鏡ではなかったのです。
何でも聞いたことには真実を答える、不思議な魔法の鏡だったからなのです。

(みなさん、この鏡に映っている顔が本当のお妃の心の姿です。)




ところが ある日のこと。
いつものように、お妃様が、魔法の鏡に尋ねると
「お妃様、今まではあなた様が一番でしたが 年ごろを迎えた白雪姫フォー子さまには
お妃様といえどもかないません。
なにせお顔の美しさは、もちろんのこと心もとびきり美しいのですから。」と、
答えるではありませんか・・・。



お妃様 は激怒し、何度も何度も鏡に聞き直しましたが答えはかわりません。
怒りも倍増のはず 実はこのお妃様は、白雪姫の2度目のお母さん・・・
そうです継母だったのです。
怒りのおさまらないお妃様は、白雪姫さえいなくなればと白雪姫を猟師に
殺させることにしたのでした。




「あの子を、森の中につれておいき。わたくしは、もうあの子を、2度と見たくないざます。
  あの子を殺して来てちょうだい。そして、その証拠をもちかえりなさい。
証拠がないとわたくし、落ち着かないざます。」




狩人は、白雪姫を森の中へつれていきました。



狩人が、剣で白雪姫の胸をつきさそうとしますと、
白雪姫は泣きながらうったえました。
「狩人さん、わたしを助けてくだしゃいな。わたしは森の奥の方にはいっていって、
もうお家には二度とかえりましぇんから。だから殺さないでくだしゃい。」

白雪姫にそう言われた狩人は、美しく心やさしい白雪姫を不憫に思い、
「かわいそうなお姫さま。私がなんとかしましょう。早くお逃げなさい。その前に
その美しい髪の毛を少しだけ私に下さい。」と言いました。




(だけど、こんな森の奥では獣が来てすぐにでも食い殺されてしまうだろう。)と、
内心思っていましたが、実際に自分が、手をくださないで済んで、
とても気持ちが楽になりました。



狩人は剣で切り取った髪の毛に動物の血をつけて、お妃さまに報告すると
すっかり白雪姫は死んだものと思っていました。
お妃さまは、たいそう上機嫌になりました。


広い森の中で、たった一人ぼっちになってしまった白雪姫は、獣のいる森の奥へと
さらに入って行きました。あたりはだんだん暗くなってきています。
「暗くなってきて、怖いでしゅ。」
すると森の奥に一軒の小さな家の明りが見えました