フォーゼルとツカサーテル2


「ああ!! おにぃ!! ここは最後にパンくず置いた場所なんじゃないの?
パンくずがないよ。食べられてしまったどぉ。」(つかさ)

「困ったでしゅ。これでは帰りの道が分らないでしゅ。次のパンくず置いた道を少し戻って歩いて
探さないとダメでしゅね。」(フォーちゃん)


 

二人は森の中をあっちの道、こっちの道と、歩きまわりましたが一晩中歩いても、帰り道が
みつからなくなってしまいました。

次の日も歩き続けましたが森から出られるどころか、どんどん奥へとまよい込んでいるようでした。


フォーゼルとツカサーテルは、深い森の中で本当に迷子になってしまったのです。
「うわああっ、ここから、どっちに行ったらよいのでしゅかぁ?」(フォーちゃん)
 
「どうしよう、おにぃ、この森から出られなくなっちゃったど。」(つかさ)
 

 その時、あの雄馬の少年が少し離れて木の影からこっちを見ていました。
二人が雄馬の少年と思った野獣は、赤みのかかった色の美しい柔らかい毛におおわれて
、額の中央には、一本の角が生えた それは美しい風貌に見えました。

「あれま、あれって、ユニコーンとか一角獣と言われてる動物だよねん。ツカサー生まれて初めて
見たどぉ。かっこいいねぇ。」(つかさ)

「僕もでしゅよ。あれぇ、なんだかこちらに手をふってるように見えましゅけど・・・」(フォーちゃん)
二人が近づいていくと、雄馬の少年は、また おいでおいでと手を振り少し先に走って
いってしまいます。

「もしかして、ぼくたちを呼んでいるのでしゅかぁ?」(フォーちゃん)



雄馬の少年にみちびかれるままついて行くと、遠くに不思議な世界が広がっているのが
見えました。
 二人は吸い込まれるように幻想的な世界に入っていきまた。気がつくともう雄馬の姿はありません。

「あれ、ユニコーンしゃん 居なくなっちゃいまちたねぇ。」(フォーちゃん)

「おにぃ! 見て!見て!あそこにペロペロキャンディーが立ってるどぉ!!」(つかさ)
「マーブルチョコがついたお家までありましゅね!!」
「いったい、ここはどうなっちゃっているんだぁ!!」

「ほんとに、お菓子だらけなのでしゅ〜!」(フォーちゃん)



二人が驚いたのもそのはずです。この家は、全部がお菓子で出来ていたのです。
屋根の煙突は板チョコで、ビスケットのかべについた氷砂糖の窓ガラスは、チョコレ
ートの枠でおおわれていました。
その上入り口の扉はクッキーで作られていたのです。表札にはイザベルおばさんの手づ
くりクッキーの家と書かれていました。



二人は、あれからずっと何も食べていません。フォーゼルはもうおながペコペコで倒
れる寸前だったので、我慢出来ず窓ガラスの枠のチョコレートを折ってかじり始めまし
た。
「おにぃ、黙って、たべちゃって大丈夫なのぉ?」(つかさ)

そう言うツカサーテルも、我慢できず、壁のビスケットを指でつまんで食べていました。


 
すると家の中から、誰かの声が聞こえてきました。
「何処の誰だい、わたしの家をだまって食べているのは?」(イザベル)
クッキーの扉が開くと、中から若いのか年寄りなのかわからない、変な、おばさんの
魔女が出てきました。
「ぎゃー!びっくりしたどぉーー。」(つかさ)
「うわあー!ごめんなしゃいーー。」(フォーちゃん)
フォーゼルとツカサーテルはビックリして走り出そうとしました




「あら、二人とも逃げなくてもいいのよ。おばさんは一人暮らしで、いつも退屈してい
るの。二人とも中へ入って遊んで行きなさいよ。食べるもならいくらでもあるし、好き
な飲み物も魔法で出してあげるから。」(イザベル)
それを聞いて、二人は ほっとしました。

「てっきり、しかられると思ったのでしゅょ〜。」(フォーちゃん)
「だよねん、優しいおばさん魔女でほんとに良かったど。」(つかさ)
二人を家へ招き入れたおばさん魔女は ココアやミルクの他、果物もたくさん出して
くれました。



その上、「疲れたらここでおやすみなさいね。」(イザベル)
と、魔法で子ども用のベッドを二つも並べて出してくれました。

「さあ、いくらでも食べたらいいわ。しばらくぶりの可愛いお客さんだもの、私もうれしくて
興奮してしまうわ。」(イザベル)
二人は飲んで食べて、おなかがいっぱいになると、小さなベッドで、うとうとと眠ってしまいました。
おばさん魔女は子どもたちの寝顔を見なから、にやにやしています。


実はこの魔女さん、子供を見つけると、やさしく手なづけたあと、『お前らを食べてし
まうぞー』と言って、怖がらせて遊ぶのが大好きな、超いたずらな魔女だったのです。

(さぁ、ここからは、イッ、ア、ショータイム!! ) (イザベル)

「イッヒヒヒ、さてと、始める事にしようかしら。私は、どっちの子から食べようかしら。
ひさしぶりの、おいしい御馳走だわぁ〜。」(イザベル)
(なにせ、お菓子の家は子どもたちを引き寄せるために、作ってあるんですもの。)



次の朝から、魔女のおばさんの態度がすっかり変わってしまいました。
フォーゼルを鳥かごのような牢屋に放り込み、扉に鍵をかけてしまったのです。
ツカサーテルのことは使用人のように、こき使いました。

「お前はいつまで寝てるつもりなの! さっさと水をくんで、御馳走を作るんだよ!」(イザベル)
「お前の兄さんは、このままでも美味しそうだけど、もっともっと太らせるからね。」(イザベル)
ツカサーテルは、フォーゼルを太らせるための料理を作らされることになったのです

 


しばらくたつと、魔女のおばさんは、フォーゼルを入れた鳥かごの前でいいました。
「どうかしら、ツカサーテル!兄さんを少しは太らせることが出来たの? フォーゼル
お前の指を見せてごらん。」(イザベル)

魔女のおばさんは大きな目のわりに目がとても悪いらしいので、あまりよくものが見えないようなのです。





そこでフォーゼルは指の代わりに、横にあったスープのだしに使う鳥の骨をそっと出
しました。
魔女のおばさんは、その骨をさわり、驚いて言いました。
「なんなの、ちっとも太ってないじゃないないの。もっともっと料理を食べさせないと食べる肉さえないわ。」
(イザベル) と、言いました。