ミニフォちゃんの親指姫2 |
![]() ![]() 福ちゃんチョウチョウが去り、沼に浮かんでいると 沼の反対側でフナ釣りをしていたバレンタインちゃんが親指姫をみつけました。 「あら、珍しい虫が流れてきたわ。魚の餌にするのは可愛そうだから、 わたしが森に帰してあげるわ。」といって 親指姫を籠に入れて、森の奥へと連れて行ってしまいました。 ![]() ![]() バレンタインちゃんの善意?のおかげで、森の中に置き去りにされた親指姫は、 どこかわらぬ森の奥で一人ぽっちになってしまったのです。 「みんな途中でほうりだして居なくなってちまうなんて、このお話はひどいのでちゅ。」 お腹が、ぺこぺこになってしまった親指姫でしたが、幸いにも周りには、沢山の草花 があり、草にたまったつゆで、のどを潤し、花のミツは甘くとてもおいしいものだったので 十分空腹を満たすことが出来ました。 そして、夜になると沢山の葉っぱにくるまって眠ることも出来ました。 (サバイバル生活なのでちゅが、森には美味しいミツが沢山ありすぎて、ドレスは ちょっときつくなってちまいまちた) と森での生活にすっかり慣れている様子でした。 ![]() ![]() 季節は秋から冬になり、空からは雪が降りはじめてきました。。 「あー、とっても、とっても、寒くなってきたのちゅ〜だれかぁ、だれかぁ、 いまちぇんかぁ。」(ミニフォ親指姫) 親指姫は、寒さに凍えながら山の中を歩きまわり やっとのことで小さな野ネズミの家を見つけました。 「トントン、あの、寒くて寒くて困っていまちゅ。どうか、わたちを助けてくだちゃい。」 親指姫が声をかけると、野ネズミのおばちゃんが出てきて言いました。 ![]() 「おやまぁ、なんて、かわいそうに。こんなに冷たくなってしまっているじゃありませ んか。さあさあ、中にお入って暖炉の前で温まりなさいな。」(ズミー) 「あたたかい食ベ物も、たくさんあるからね。 こんなに外は寒いんだもの遠慮しないで、いつまでもここにいたらいいんだよ。」(ズミー) 野ネズミのおばちゃんは、それはそれは優しいおばさんでした。 こうして、親指姫は、野ネズミのおばちゃんと一緒に暮らす事に決めました。 ![]() さて、野ネズミの家のさらに地面の奥深くには、 お金持ちのモグラのおじさんが住んでいました。 「ズミーさんや、ずいぶんと可愛い子と暮し始めたもんだのう。」(ノリヘイ) 「ええ、この子は可愛くて、私もお気に入りなんですよ。」(ズミー) 親指姫を一目見て気に入ったモグラは、毎日のように、遊びに来るようになりました。 ![]() そんなある日の事、親指姫は、けがをして倒れている一羽のツバメをみつけました。 「ツバメさん、早く元気になってくだちゃいな。 わたち、あなたが歌うのが大好でなんでちゅよ。 歌えるように元気になってくだちゃいね。」(ミニフォ親指姫) やさしい親指姫は、毎日ツバメの看病をしました。 ![]() 春になり、とても元気になったツバメが親指姫に言いました。 「あなたのおかげで、わたしはまた飛べそうです。 わたしはそろそろ、南の国にかえらなければなりません。 南の国は、とても暖かく良いところですよ。あなたも、わたしと一緒に行きませんか。」(ツバメ) 「ツバメさん、ありがとうございまちゅ。でも、わたちは、ついていけないのでちゅ。」(ミニフォ親指姫) 「親指姫さん、どうしてですか?」(ツバメ) 「だって、わたちが もし居なくなったら、野ネズミのおばちゃんが寂しがりまちゅから。」(ミニフォ親指姫) 「野ネズミのおばちゃんには、凍えそうなのを助けてもらって、わたちは沢山お世話に なったのでちゅもの。」(ミニフォ親指姫) 「そうですか。それはとても残念ですね。では、私はそろそろ旅立ちます。沢山お世話になりました。 本当にありがとうございました。ではお元気で。」(ツバメ) 「ツバメさん、さようなら。」(ミニフォ親指姫) ツバメは親指姫に礼を言うと、南の空へ飛んで行きました。 ![]() 森も草花が咲き乱れ親指姫も野ネズミとの暮らしに 満足して過ごしていました。 ところが、夏が来ると、野ネズミのおばちゃんがこんなことを言いだしました。 「親指姫や、とっても良いお話があるのよ。 ![]() モグラさんは、お金持ちだし良いお話だと思うわ。わたしも、もぐらさんとのお付 き合いもあるし、このお話を断わる理由もないわ。 秋になったら、あなたはモグラさんと結婚するのが一番よ。」(ズミー) それを聞いて、親指姫はとても驚きました。 ![]() モグラのおじさんのことは嫌いではありませんが、モグラのおじさんと結婚したら ずっと地面の底深くで暮らさなければならないのです。 モグラおじさんは、お日さまが大きらいみたいなのです。そのうえ、 親指姫の大好きなお花も大きらいだったからです。 モグラおじさんはお金持ちでも、太陽の下で、お花いっぱいが大好きな親指姫には何と 悲しく辛い生活になってしまうことでしょう。 ![]() 夏も終るころ、親指姫は野原でお日さまに向かって叫びました。 お日さま、さようならでちゅ。お花さんたちもさようならでちゅ。 わたちはモグラのおじさんのお嫁さんになって地面の底に行ってちまうのでちゅ。 これからは、あなたたちに会うことが出来なくなると思うのでちゅ」(ミニフォ親指姫) 親指姫は考えたらとても悲しくなって泣き出していました。 その時、空の上から聞き覚えのある声が聞こえてきました。 「親指姫さん。悲しまないで、私がお迎えに来ましたよ。」(ツバメ) あの時助けたツバメさんが、帰ってきたのです。 ![]() 「モグラのお嫁さんになるなんて。さぁ、今度こそ私と一緒にまいりましょう」(ツバメ) 「はい、今度こそ本当について行きまちゅ。わたちは決断するのでちゅ。」 (ミニフォ親指姫) ツバメさんは親指姫を背中に乗せて、大空に舞い上がりました ![]() 南の国に向かって旅して飛びつづけました。何日かすると 親指姫の大好きなお花が、一面に広がっている光景が見えてきました。 そこは美しいお花の世界、お花の王国でした。 ツバメさんは美しい花の絨毯の上に、親指姫をそっとおろしました。 まわりを見回すと花の上に、親指姫と同じくらいの大きさの素敵な男の子が立ってお りました。 「花の王国へようこそ。こんにちは。かわいいお嬢ちゃん。」(アビーちゃん) 「僕はこの花の国の王子です。この国に来たあなたにはこれを授けます。さあ、これを おつけなさい。」(アビーちゃん) 王子さまは、親指姫の背中に羽をつけてくれました。 「わたちは、本当のお花の妖精さんになれたのでちゅね。」(ミニフォ親指姫) そして親指姫は、花の国の王子様の花嫁になりました。 二人は花から花へと飛びまわりながら、いつまでも仲良く幸せに暮らしています。 ![]() ![]() でもね、親指姫はトット母さんの事も忘れてはいません。 トットちゃんは今も、春になるといつも同じ場所に種を植えているのです。 親指姫は王子さまを連れて妖精の姿で、花のまわりで彼女をいつも慰めているのです。 「トット母さん、わたちたちは、いつでもあなたのそばにいるのでちゅよ。」(ミニフォ親指姫) 花の影には小さな妖精がそっと隠れていて、みんなの幸せを願っています。 寂しくなったら、あなたも太陽の下に出てみては? そして、お花畑で過ごしてみて下さい。きっと、幸せな気持ちになれますよ。 おしまい ![]() |