長靴を履いた猫2

しばらくすると、 そこへ王さまの馬車がやってまいりました。

「これ、村の娘。このあたりの畑は、どなたの持ち物か知っておるかのぉ?」

「あっ、は・・はい。この辺りの土地は・・・えっと、みんなカラバ公爵さまの畑だっ
たはずですわね。。」

「ほぅ、そうなのか。公爵殿は、実にりっぱな土地をお持ちになっているのじゃな」

すっかりバレンタインちゃんの話を信じた王様は感心してしまいました。



その会話を見届けたネコは、また先回りをして道を行くと立派なお城が見えてきました。

「ははん、あれが噂のイザベル城だにゃん。よし、このお城をご主人さまの物にしてあげ
なくてはならないにゃん」ネコはすました顔で、お城の中へ入って行きました。

「偉大なる魔法使いさま。あなたさまのお噂を聞きして、お目にかかりにまいりましたにゃん。
 わたくしを是非あなたさまの家来にしていただけないでしょうかにゃぁ?」(ニャイーン)




「おまえはわたしの家来になりたいのかい。ふーん、わたしは、とても厳しいのよ。」
(イザベル)
「はい、なんでもいたしますにゃ。」

「それに、おまえのにゃぁ語はなんなの? ちょっと気になるわねぇ。」

「どうぞお気になさらずに。キャッ村の方言なんですにゃ。



ところで、いだいな魔法使いさま。 うわさによるとあなたさまは、
どんな物にでも姿を変えられるそうですにゃ。」

「ふふん。噂になっているのね? そうかい。そうかい。」
「おまえも見たいのかい? そんなに見たいのなら、わたしの実力をちょっと見せてやってもいいけどね。」
と言うと魔法使いは、パッとライオンの姿に早変わりをしました。




「わあ、驚きましたにゃぁ! すごいですにゃん。うわさどおりですにゃぁ。しかし、
たとえあなたさまといえども、小さなネズミにだけは化けられないのではないですか
にゃん?」



「何を言ってるの。ネズミなんか、あっという間になってみせるわよ。」と言うや否や、
 魔法使いは小さなネズミに変わって見せました。

「うひゃ、今だにゃん!」
 ネコは得意のネズミ狩りで、ネズミに化けた魔法使いを一気に飲み込んでしまいました。




しばらくすると王さまの馬車が魔女の館にやってまいりました。

 ネコは、うやうやしくおじぎをして
「これはこれは王様。ようこそお運びくださいましたにゃん。主人カバラ侯爵のお城でございますにゃ。」
(ニャイーン)

「主人カバラ侯爵はたいへん素晴らしいお方ですにゃ。しかし、いまだ花嫁が決まっ
ておりませぬにゃぁ。花嫁になられるお方は、きっとお幸せになられるですにゃん。」

それに、貧乏だった粉ひきの息子は、王様から貰った服を着ているのですから、もうどこか
ら見ても立派な侯爵にしか見えませんでした。
ちょうどお姫さまのお婿さんを探していた王さまは、侯爵とお姫さまを結婚させる事にしました。






本物の侯爵となった息子は、ネコを貴族にして一生そばにおき、
お姫さまと仲むつまじく、たいそうしあわせに暮らしました。

ネコのお気に入りの長靴ですが、あれから毎年増えて立派なコレクションになっている
ようです。
今ではどれを履こうかとごきげんで選ぶ日々のようですよ。


おしまいだにゃ〜





登場人物
猫  ニャイーン
三男(カバラ公爵)  フォーちゃん
王様    フォーちゃん
魔女 イザベルちゃん
農家の娘  バレンタインちゃん
お姫様    ちびフォーちゃん
お付のもの  エル  ズミー
長男  じゃがくん
次男  コロコロちゃん

門番   花尾鳥ちゃん
お供 メメちゃん