フォーちゃんと魔法の木 
むかしむかし魔女の森の片隅に、へんくつなおばあさんが住んでおりました。
なぜへんくつかなのかというと、人に道理を諭すのが大好きな
うるさいおばあさんだったからです。
その上、とてもこわいお顔もしていたので、
近くのものは、だれもこのおばあさんのもとに近寄りません。


そこでおばあさんは考えました。森の奥にある大きな木に
不思議な魔法をかけてみることにしたのです。

大きな木の前で「えっこらしょっと。」一言つぶやいたかと思うと
持っていた杖で木の根を突いては、ぶつぶつとつぶやきながら
ゆっくりと木の回りを歩き始めました。三回程まわり終えると、

「まぁこれぐらいでええじゃろ。魔法の木よ、わしの代わりにしっかり仕事をせえや!」(はざばぁ)

仕事をやりおえたおばあさんは、杖をコツコツならしながら帰っていきました。




数日後、森の奥まで入って来たきこりが、一本の大木を見つけました。
「うわぁ、これは素晴らしい木でしゅね! オノを当てると、コツコツといい音がす
るのでしゅよ。これを切って持っていたら村長さんに誉められると思うでのしゅ」



さっそくオノで木を切ろうとすると、
「切ってはならぬ! 欲しい物は何でもやるから切るなよ」
と人の声が聞こえてきました。。

「ひぇぇ、木がしゃべったのでしゅ。猫が話したと噂には聞いたのでしゅが、木まで
しゃべるとは、たまげたものでしゅね。」(フォーちゃん)
「欲しいものをくれるのでしゅか?それなら一番はケーキなのでしゅけどね。」(フォーちゃん)

「おまえの望みはそんなものなのか・・・」
「お金持ちでもよいのでしょ。ずっとケーキが買えるのでしゅから」(フォーちゃん)
「家にかえってみてみなさい。その願いはかなっているはずじゃ」





きこりが家にかえってみると、ケーキと金のオノが置いてありました。
そのうえ、見たこともない女の人がいたのです。

「あんた、おかえり。あんたのかえりを首を長くしてまってたんだよ」(ソフィちゃん)

「あなたは、どなたしゃんでしゅか?」(フォーちゃん)

「なにを言ってるんだろねこの人は。あんたの女房じゃないか?」(ソフィちゃん)

「ええぇ、ケーキと金のオノにおかみしゃんがセットなんでしゅか・・・」(フォーちゃん)





「金のオノを売ったら大金もちだよあんた。早く売ろうよ。」(ソフィちゃん)

「絶対売らないのでしゅ。うちは、一点豪華主義なのでしゅから!!」(フォーちゃん)


(なんかすごいことになったのでしゅ!頼んでないのにおかみさんまでいたのでしゅ。。
 
でも、あの顔は絶対気に入らないのでしゅ!!
タイプじゃないので、もういちどあそこに行って頼んでみるのでしゅ〜)

 



きこりはオノを持って出かけ、またコンコンと木を叩きました。

「おや、またおまえか。何か用かね?」

「頼んでないのに、おかみしゃんがいたのでしゅ」(フォーちゃん) 

「ああ、おまけにつけてやったんだよ」

「いつもにらんでいるおかみさんなんて、嫌なのでしゅよ」(フォーちゃん)

「贅沢な。おまけはあの程度が相場なんだよ。」

「こんどはちゃんとお願いするのでしゅ。
もっときれいな、さわやか系のおかみさんにして欲しいのでしゅ」(フォーちゃん)
「わかった、家へ帰って見てごらん」



急いで家に帰ると、今度はきれいなおかみさんが待っていました。

「あら、あなた。おかえりなさい。」(シュシュちゃん)

「さっきと違って、とっても好みなのなのでしゅ〜」(フォーちゃん)

「あなた、いっしよにケーキをたべましょうよ。今切ってあげますね。」(シュシュちゃん)

可愛いさわやかなおかみさんに、きこりは大喜びしましたが、
このあたりの村長になれたらもっと良いかもしれないと思いついてしまいました。



さっそく、きこりはオノを持って出かけました。
「ほう、また来たのか。今度は何の用だい?」

「このへんでは村長さんが一番えらいのでしゅ。お金持ちよりえらいのでしゅから。」(フォーちゃん)
「そうかい。その望みならかなうよ」



いそいで家に帰ると、おかみさんが一枚の紙をわたしてくれました。
それはきこりを村長にすると書かれた任命書でした。

「あなたすごいわ。村一番の村長さんになったのね」(シュシュちゃん)

 きこりは村長になったとたんに、もう次の欲がわいて来ました。

「どうせなら貴族になってみたいのでしゅ〜」(フォーちゃん)



きこりはまた、森へ行きました。

「またおまえか。いったい何が欲しいんだね?」

「偉い貴族になりたいのでしゅ〜」(フォーちゃん)

「貴族かぁ。その望みもかなうぞ」



家に帰ると王さまの使いが、家の前に来ていました。それは、お前を貴族にすると
いう知らせを持って来たのでした。
 「とうとう貴族になってしまったのでしゅ」(フォーちゃん)

「あらあなた、私たち今日から貴族なのね。どうしましょ。お衣裳もあつらえないとな
らないわね」(シュシュちゃん)
 貴族になれたら、すぐ次の欲がわいてきました。
「貴族になれたのでしゅから、どうせなら王さまになりたいもんでしゅ」(フォーちゃん)



キコリは森へ出かけ、木を叩きました。
「ああ、おまえか・・・今度は、いったい何が望みなんだ?」

「王さまでしゅ。王さまは誰よりも偉いんでしゅ。どうせなら王さまになれないものでしゅかね?」(フォーちゃん)
 

その望みを伝えると木が大きく揺れはじめました。木の葉をふりちらかせたと思ったら、

どこから来たのか木の横には、一人の老婆が立っておりました。


「この欲張りものめが!わしがこの木に魔法をかけたんじゃ。わしはずっと聞いてお
ったぞ。おまえは最初金持ちになりたいといい、そのつぎは村長だとぬかし、村長の次
はなんと貴族だと。その上貴族の次は王さまじゃとぬかしおったな。 どうせ王さまの
次は神さまじゃろう。欲とはまったく際限のないものなんじゃな。それがわからぬと、
お前は何もかもなくしてしまうのじゃぞ」

「はい。。どんどん欲しくなったのでしゅ。欲しいものが手に入ると次々欲しいものが
浮かぶのでしゅ。ほんとうに欲ってきりなく出てくるのでしゅ。」(フォーちゃん)

「わかったなら、貴族ぐらいでやめておくのじゃな」(はざばぁ)

「やっぱりケーキがたべられれば良いので、最初のに戻してくだしゃい」(フォーちゃん)

「ずいぶんと素直じゃのぉ。。」(はざばぁ)

「でも、おかみしゃんだけは、二番目でお願いするのでしゅ〜」(フォーちゃん)



家にかえったきこりは金のオノを一生の宝物にして可愛い奥さんと
仲むつまじく幸せに暮らしましたとさ



おしまい